マスター・キートン

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マスター・キートンのお話

 

 
       

          
マスター・キートンのワイン物語


「シャトー・ラジョンシュ1944」…

この物語を読んで、ワインがもっと好きになりました!

大好きな漫画
「マスター・キートン」から、第9巻 CHAPTER8 のワインを題材にした心温まるショートストーリーをちょこっと。

「マスター・キートン」
小学館・ビッグコミックオリジナル誌( 勝鹿北星・作、浦沢直樹・画)
─1988年6月5日号から1994年6月5日号に連載─
                                 
                                 
「マスター・キートン」とは…

主人公の平賀・キートン・太一は、日本人の父と英国人の母を持つ日本人である。

キートンは、一見、冴えない風貌の男だが、、実は、英国軍SASのサバイバル教官であり、武器のスペシャリストという驚くべき経歴の持ち主である。

彼は、その経験を生かし、危険な保険調査員(オプ)をしている。

オックスフォード大学で考古学を専攻した彼は、自説の「ドナウ=ヨーロッパ文明起源説」を立証する事を夢見る大学の臨時教師でもある。

しかし、なかなか考古学者としての道は険しく、認められない。

この物語は、表向きは冴えない大学の臨時教師のキートンが、オプとして世界中を飛び回りながら遭遇する心温まる短編物語集である・・・。

英国軍SASのサバイバル教官であり、武器のスペシャリストであった彼が、いろいろな国で出会ういろいろな事件を痛快に解決していく。

心温まる人間模様あり、痛快アクションあり、弱そうに見えるキートンの機知に富んだスーパーマンのような活躍ぶりが、実にさわやかで気持ちいい。

キートンの父・太平、娘・百合子、太平の飼い犬・太助、保険調査事務所の相棒・ダニエル、幼馴染の探偵・チャーリーなど、登場人物それぞれに存在感があり、この作品を魅力的にしている。

お勧めの逸品だ!

☆☆☆

そのキートンの物語の中でも私の大のお気に入り、
「シャトー・ラジョンシュ1944」は、ワインを飲む楽しみをぐっと増してくれますよ。

舞台は、フランス・ブルゴーニュ…。

戦火のなかで摘まれたわずかなブトウから作られた、奇跡の傑作ワイン「シャトー・ラジョンシュ1944」にまつわる心温まるお話し…。

その奇跡の傑作ワインには、少年時代のシャトー館主ヴィクトールと、彼が生まれる前の先代以来の使用人リベロとの、命をかけた思い出が込められていたのです。

ブドウの当たり年になるはずだった1944年10月、ブルゴーニュ一帯を占領していたドイツ軍にシャトーラジョンシュ館もドイツ軍に押収されていました。

そのドイツ軍に対し、連合軍が総攻撃を仕掛け、館の周りは包囲され戦場になったいたのです。

そんな状況下、館主ヴィクトールとリベロは、館の地下のワイン倉庫に隠れていました

と、そこから見えるブドウにリベロが気づきます。

「見て下さい、あのブドウの色。今摘めば必ずいいワインができます!!」

ワインより命…のはず…。

しかし、使用人リベロと主人のヴィクトール少年は、弾の飛び交う中で、ブドウを摘んだのである。

ブドウの摘み入れは、半日が勝負であり、早くても遅すぎてもいけない。
リベロはこれを心得ていた。

こうして、命を賭して、摘んだブドウは、奇跡の傑作「シャトー・ラジョンシュ1944」となった。

そして、舞台は現代へ…。


今や、シャトー・ラジョンシュは経営難で、館主ヴィクトールの夫人の主導で近代化への転換を迫られていたのです。

ワイン作りの重労働で早くに両親を失っていた夫人は、昔ながらの手間と時間がかかるワイン作りには憎悪さえ感じており、強行に近代化を進めていたのです。

さらに、館主夫人は、奇跡の傑作「シャトー・ラジョンシュ1944」を提供する代わりに、資金提供を受け、経営難を乗り切ろうとします

一本だけ残されていたその奇跡の傑作「シャトー・ラジョンシュ1944」を慈しむ館主ヴィクトールは苦しみます。

そして、いよいよ、そのワインは、
パーティー会場で資金提供主に引き渡されることになってしまいます。

そして、館主ヴィクトールがそのワインを資金提供者に渡そうとしたその瞬間、ヴィクトールはわざとそのワインを床に落として割ってしまいます。

心の奥底で近代化に疑問を感じていた彼のささやかな抵抗だったのです

そして、同じく心の中で近代化に反対していた使用人リベロは、この日にシャトーを去ろうと決意していました。

最後に、使用人リベロが、館主ヴィクトールへお別れのワインを差し出します。

静かに、飲み交わしたワイン…驚く館主ヴィクトール。

それは…、何と落として割ってしまったはずの「シャトー・ラジョンシュ1944」だったのです。

涙を溜める館主ヴィクトール。

使用人リベロ…、
「旦那様が必ずやああなさると思いまして…」。

去ってゆくリベロ…。

ここで物語は終わりますので、この後どうなったかは解りません。

しかし、きっと、館主ヴィクトールは、近代化せずに、また奇跡の傑作が生まれるのを信じて昔ながらのワイン作りをしていくのではないでしょうか?!

この回のキートン君は、脇役に徹しているという感じですが、わずかな登場シーンでも存在感を見せます。

今、私が飲んでいるレベルのワインは、ひょっとしたら、もう近代化されたブドウの摘み入れで作られているのかもしれません。

しかし、ワインの1本1本に、ブドウを摘む人の心が込められていると思うと、ワインがまた美味しく頂けますね。

どうです?
ワインを片手に「マスター・キートン」を読んでみるのも、一興かも!

     
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